そういうふうにできている

140文字だと書けないことを書きます Twitter@odayaka_chan

『砕け散るところを見せてあげる』を読みました

やっと読みました!!!!竹宮ゆゆこさんの一般文芸作品と聞いて発売即購入したのに、2018年まで積んでいました。積んでる本ばっかだよ。Twitterを捨てよ書を開け。

 

◾️竹宮ゆゆこさん

言うまでもありませんが、「とらドラ!」で有名な人です。

私自身は「わたしたちの田村くん」「とらドラ!」「ゴールデンタイム」全巻、何度も何度も読んでいます。彼女の文章の柔らかな空気感、大胆なメタファーや生々しいまでの心理描写、特に女性の内面の汚さの描き方に惚れ込んでいるのでこちらも購入。

新潮文庫nexは公式にはライトノベルレーベルではないらしいので、一般文芸作品に方向転換するんだな〜と思ってたのですが、読んでみたら今までと変わらずラノベ文体だったので少し肩透かしを食った感じ。竹宮ゆゆこさんを知らない人が一般文芸作品だと思って買ったらびっくりするレベルでラノベだと思った。

 

◾️あらすじ

"大学受験を間近に控えた濱田清澄は、ある日、全校集会で一年生の女子生徒がいじめに遭っているのを目撃する。割って入る清澄。だが、彼を待っていたのは、助けたはずの後輩、蔵本玻璃からの「あああああああ!」という絶叫だった。その拒絶の意味は何か。“死んだ二人”とは、誰か。やがて玻璃の素顔とともに、清澄は事件の本質を知る……。"

 

以上裏表紙からの引用です。正直意味わからんしこれで買おうと思う人いるのかな。

まあつまり「ちょっと変わった女の子を救うボーイ・ミーツ・ガール」がテーマの作品で、読みながら『砂糖菓子の弾丸は撃ち抜けない』や『半分の月がのぼる空』など、ちょっと(ちょっとか?)昔のライトノベルを想起しました。

あとこちらの本は、宣伝文句が「最後の一文、その意味を理解したとき、あなたは、絶対、涙する。」というものになっていて、帯にもそう書いてあるんですよね。となれば叙述トリックかなあ、『イニシエーション・ラブ』みたいな感じかな〜と勝手に思いながら読み始めました。

 

◾️感想(軽いネタバレあり)

さて、作中では「UFO」をキーワードにして話は進んでいきます。メインは、「1つ目のUFO」の話。そして終盤で「2つ目のUFO」の話。おそらくタイトルは、2つの「UFO」が「砕け散るところを見せてあげる」というところからの名付け。

「1つ目のUFO」の話はライトノベル風の青春劇のように描かれるので非常に読みやすいですが、「2つ目のUFO」の話から抽象的・比喩的な表現が増えて複雑になり、伏線が回収されます。

精神的にまだ幼い高校生たちから見た世界の描写、終盤に向けての大胆なスピード感、こちらの衝動性を揺さぶってくる表現やメタファー、このあたりの"竹宮ゆゆこらしさ"は今作にも存分に現れています。ファンなので、これだけで満足。

 

以下若干のネタバレを含みますが、ひとつ残念なポイントをあげるとしたら、宣伝文句かなあ。「最後の一文、その意味を理解したとき、あなたは、絶対、涙する。」という煽りはいまいち的を射た表現ではないなと感じました。まあ涙することはあっても、少なくとも「最後の一文」だけで涙するわけではない。

私がどういう叙述トリックに引っかかっていたかは理解できるし、語り手が複数いることや、誰がどこを語っていたかもはっきり読解はできるのですが、そこの構造的な驚きはこの作品の本質ではないんですよね。むしろ叙述トリックを精巧に仕組もうとしているようには全く受け取れないような、作者としては素直に読んで欲しいのではないかとまで感じられる気遣いもあちこちに見受けられる。

煽り文句を真に受けて叙述トリック作品として読んでしまうとどうしても期待外れに感じる人が多いのではないでしょうか。私も最初は「え?これが?」って少し眉をひそめましたので。

 

では「最後の一文」は結局なんだったのかというと、トリックのネタばらしなんかではなく、この『砕け散るところを見せてあげる』という作品の主題です。

あえて書きませんが、この「最後の一文」を見た上でもう一度この本を読み返すと、最初から最後まで終始愛に溢れたとても優しい物語だということに気づけるという、そういう本でした。

オススメは……竹宮ゆゆこ作品が好きならしますし、そうじゃないなら『とらドラ!』か『ゴールデンタイム』を読んだ方が彼女の魅力が伝わるんじゃないかなあって思いました。

まあでも気になった人いたら読んでみてね。

 

好きな作家さんだから久々に勢いでブログ書きました。暇な時に推敲と加筆訂正をします。

終わり